皮肉というか (2003/12/8)


ずっと更新を怠ってきたんですけど、まぁいろいろありまして。引越しとかしてたんですけどね。まぁそんなことはどうでもいいんですが。

その引越し前に観たビデオが
『ニッポン無責任野郎』(1962 東宝)
だったんですけど、この映画は絶対節目節目で必ず観ているんですね。
なんといってもアタシのベストワン作品なもんで。

で、この映画を観ながら『ああ、お姐ちゃんトリオの映画について書こうかな』と思いたち、実際途中まで書いたんですよ。

<以下その時の文章引用>

お姐ちゃんトリオってのは、今でいえば誰々になるのかなぁ。トリオってくらいだから三人なんだけど、たとえばモーニング娘。内のユニット、プッチモニとかタンポポとかミニモニとか、全然違うんですよねぇ。
しいていえば、スピードとかになるのかな。役割分担がはっきりしているという意味でね。

団令子が芝居、中島そのみが歌、重山規子がダンス、といった具合にポジションがはっきりしていてね。
この三人が主演した『お姐ちゃんシリーズ』はちゃんとそれぞれの見せ場が用意されててね。団令子がハナシを引っ張って、中島そのみには歌唱シーンが、重山規子にはセクシーなダンスシーンが用意されている。

たぶん年齢設定は全員22〜23才なんでしょうね。まぁこれくらいの女性が主役だから当然恋のさや当てがあって、しかも歌あり、踊りありだからね。もうモダンそのものなんですよ。東宝モダニズムの代表といっていいくらい。モダンということに関しては、たとえば『若大将シリーズ』とかより上なんじゃないかと思うんですけどね。

まぁえらそうに書いてますが、アタクシ残念ながら初期の2本しか観てないんですよ。

<引用終わり>

…みたいなことを書いていたんですよ。まぁ実際はもうちょっと長いんですが。

どうもうまく書けないなぁと思って保留にしていたんですけど、まさか団令子さんが(ここから現金に≪さん付け≫します)。
いやもう結構ショックで。なんかもういいやって思って。書く気が完全になくなって。

アタシはね、この人の演技力すごく買ってたんですよ。さっきあげた『ニッポン無責任野郎』でもね
『まぁそう50万50万ってお金にしか興味ないみたいよ』
とかすっげえ巧い言い回しだと思う。観る度に感心しますよ。まぁルックス的にも、お姐ちゃんトリオの中では一番好みだし。

女優さん引退されたのは知ってたけど、晩年は何をされてたか全然知らない。アタシにとって、団令子さんに関して一番新しい映像って
サラリーマン悪党術』(1969 東宝)
ですからね。

うーん、うまく書けない。別にハナから追悼文なんか書くつもりなかったんですけど、ずいぶん日が経っているとはいえ、やっぱ哀しいニュースの中で書くのは苦手ですねぇどうも。


旅愁 (2003/12/17)


今回は<1960年代>からも<東宝>からも大幅に外れます。

で、なにをやるかというと、16日に日本テレビ系で放送された
『俺たちの旅〜30年目の運命〜』(日本テレビ・ユニオン映画)
についてのべていきますね。

アタシがこの『俺たちシリーズ』にハマったのは、中学生のころだったはずです。
なにげなく深夜テレビを見ていると始まったのが『俺たちの朝』の再放送でね。これは『俺たちの旅』に続く第2弾なんだけど(ややこしいので『俺たちの勲章』は省く)、勝野洋、小倉一郎、長谷直美が主演でね。とにかくメッチャクチャハマって観てたんですけどね。

で、しばらくしてサンテレビでね、あ、関西に、というか神戸のUHF局でサンテレビってあるんですけど、そのサンテレビで『俺たちの旅』の再放送が始まったんですよ。で、これにもハマって、いやハマったというより、かなり影響されたというかね、たぶんこれ観てなかったら大学とかいってなかったと思いますよ。それくらい影響されましたね。

んでもって、この再放送が終わってすぐくらいに10年目のスペシャルがあって、それからまた10年後にスペシャルがあって、で今回のヤツになるんですよね。

それとは別に何年くらい前だったかなぁ、カミセンが主演で新しいシリーズがつくられたりして。うまくいかないに決まってんだけど、それでも一応全話観たりした。

ネット上とかでみたら、このカミセン主演の新シリーズの評価は散々ですね。でも個人的には森田剛とかわりとよかったと思ったんだけど。あんだけ週刊少年マンガ雑誌を読んでいる姿がサマになる人はそうはいないですよ。

まぁそれでもアタシも無邪気に観ていられる年齢じゃなかったもんで、正直いうとかなりキツかった。正直にいうとね。

このカミセン主演版、10年後、20年後、アタシにいわせれば全部失敗の範疇に入ると思うんだけど、3つともおんなじところでつまずいている。

3つとも明らかにテーマを履き違えているんじゃないかと。つまりね、この『俺たちの旅』の、少なくともオリジナル版に限れば<友情>なんかテーマじゃないんですよ。

もちろん友情にピントがあった話もあるんだけど、でもそれはひとつの要素にすぎない。考えてもみてくださいよ。もし<友情>なんていう『一見深そうで実は安っぽい』ものがテーマだったら、ここまで名作として語り継がれるわけないと思いません?

この作品のポイントはOPとEDに如実に表れている。あのしつこいくらい挿入されるスナップショット、つまりなにげない日常シーンでの人間の表情(カースケ、オメダ、グズ六はもちろん、ゲストキャラもそれ以外の街の人たちを含めて全部)こそ(2ちゃん風にいえば)本体なんじゃないかと。

アタシはね、ハナシそのものは前説にすぎないとさえ思っているんです。しかしその前説のおかげで、ラストのスナップショットがより味わい深くなる。

ところがね、上記の3作品ともその辺がぜんぜんないですよ。腹が立つくらい。本体がさっぱりなくて、サブの要素であるはずの、しかも気恥ずかしいたらありゃしない<友情!友情!>の押し売り。そもそもこの3人が無二の親友である必要なんかどこにもない。カースケの性格上、どうしてもほっとけないから<つい>手をさしのべたりしてるだけで、それは友情とはなんの関係もないと思う。
3人が親友である必要もないし、カースケの生き方にも興味などない。

話なんかなんでもいいと思うんですよ。はっきりいえば<グズグズ>の方が絶対よかった。ただ問題に直面した時の表情と、一応のケリがついた後(つまりエンディングでの)表情さえしっかり描いてくれれば、本当にそれだけで『俺たちの旅』として成立したと思うんですがね。

それはね、エンディングに流れていた『ただお前がいい』の歌詞に具体的に提示されていたと思うんだけど。鎌田敏夫も斎藤光正もなんで気付かないのかなぁ。もうそれが不満で不満で。

ながーい前説になっちゃいましたが、30年目のことですね。

まずフィルムじゃなくてビデオ撮影だったんで『こりゃダメだ』と思ったんだけど、逆に挿入される昔のカットが神話化されたようで、そして現在はありったけの現実って感じになって、まぁそこまで気にならなくなった。

じゃ面白かったかというと、全然いい表現じゃないけど
『20年目よりは良かった』
という感じですか。

ヨーコがでてこないとか、十朱幸代のエピソードが本編にあんまりからんでいないとか、そもそもどれが本編なのかよくわからないとか、なんでイジメのエピソードが必要なのかとか、アタシ個人として納得できないことも多いし、実際いろいろ叩かれているみたいだけど、『俺たちの旅』のオリジナルを知らない人が観ても、それなりに楽しめる仕組みになっていたとは思う。

まぁ子供が観て面白いハナシじゃないね。もしアタシが中学生だったら全然楽しめなかったと思う。じゃ大人向け、というか大人なら面白いかといえば、せいぜい<それなり>だと。
さらにオリジナルが好きだった人が観ると、やっぱり不満が残る。ずっとアタシが考えていた<本体>も(前回よりマシだったといえ)たぶん作り手はわかってないと感じたし。

ただもう次はやらないでしょ。それだけが救い。もういっこ個人的な救いは、秋野太作の演技の巧さに触れたこと。いやこの人、ホントに巧いよなぁ。


日本一のドリフファン (2003/12/21)


実家の荷物を整理してきたら、けっこういろんなもんがでてきまして。
その中から高木ブーのサインがでてきたのはうれしかった。てっきり紛失したと思ってたから。

何年くらい前かなぁ。東京は中野に『中野武蔵野館』という小屋があって。今もあるんだけど。
そこでね、ドリフターズの映画特集をやったんですよ。レイトショーでね、たしか週替わりで2本づつやったように記憶している。時期も3回くらいにわけてやったんだよね、たしか。

今でこそ松竹の『全員集合!』シリーズはビデオになってるけど、その当時はキャビアなみの価値があったんですよ。だからアタシもせっせと足を運んで、『全員集合!』シリーズはほとんど中野武蔵野館で観た。
(ただし東宝の『ドリフターズですよ!』シリーズはいまだにビデオ化されていない。アタシは浅草東宝で全部観たけどね)

で、このレイトショーに高木ブーが立ち寄ってえらい騒ぎになり、その後ファンとの交流をもつようになったことは高木ブーの自著でもふれているんだけど、アタシもその中のひとりだったんですよ。

他にも成城大学ドリフ研究会の小宮山くんとかもいたりしてね。のちのホフディランのユウヒですね。

飲みにいったりカラオケにいったり。みんなで『ほんとにほんとにご苦労さん』を唄ったりしたなぁ。
(当然高木ブーのパートは本人が!)

あと引越しも手伝ったからね。新居でウ○コをしたのはいい思い出です。(もちろんトイレで)

高木ブーって人はあのまんまだから。一緒にいてもあんまり緊張しないというかね。ホントにところかまわず寝るし。でもそんな人柄だからいろんな話を聞けたし。

アタシも忘れてしまいそうなんで、当時交わした会話をここに書き留めておきます。

○監督について
ドリフ映画の監督といえば渡邉祐介、和田嘉訓、瀬川昌治と3人いるわけだが、ブーはドリフファンからあんまり評判のよくない和田嘉訓をわりと買っていた。まぁ一番合うのは渡邉祐介ともいっていたが。

○ロケについて
クレージー(キャッツ)はいろいろ海外ロケに連れて行ってもらってたけど、ボクらはハワイにしか連れて行ってもらえなかった(『ドリフターズですよ!全員突撃』のことですな)』

○田村隆
ドリフ全盛期を支えた代表的な放送作家。アタシが『最近田村隆さん書いてませんね』と聞くと『すごい面白かったんだけどねぇ』と微妙な言い回しをされていた。

○志村けん
誰かが(アタシではない)志村けんと石○陽子とのことを聞くと『みんなそう思っているみたいなんだけど、実は違うんだなぁこれが』

○荒井注
『もう一度コミックバンドをやってほしい』と懇願すると『それは荒井さん次第だよ。あの人がいないと形にならない』この事は自著にも書いてある。

たぶんもっともっといろんな会話をしたと思うが、ほとんど忘れてしまった。上記に記したのは非常に印象的なものだったから憶えていたのだろう。

この人ね、すごいドリフファンなんですよ。メンバーでありながらドリフファン。だから台本とか映画のスチールとかいっぱいとってある。当然ほとんどの人が目に触れたことないようなモンばかり。

アタシは『全員集合!』シリーズ(映画の方ね)のビデオを何本かもってんだけど、これのソースって高木ブーが個人的にテレビ放送を録画したヤツなんですよ。たぶん昭和50年代の中盤に放送された分。だから当時の東京地域のCMなんかもそのまんま入っている。たまに観返したりしたら、そういうのが凄いなぁと思う。

まぁそんな貴重なもんをファンに貸してくれたりする人なんです。それはやっぱりもっとドリフを好きになってほしいと思ってたからなんじゃないかなと勝手に想像したりしてるんですが。

だからね、誰がなんといおうと、日本一のドリフファンは高木ブーなのです!


ライダー変身!トゥ!(あえて) (2003/12/22)


どうも東映作品って苦手でね。
東宝はいうにおよばず、松竹・大映・日活を含めた五社の中で一番観る気がしないというかね。

なんというか、重いんですよ。空気が。すっごい<様式美>みたいなんがあるでしょ。それがね。
時代劇にしても、ヤクザ映画にしても。まぁ『仁義なき戦い』とか深作欣二の作品はそうでもないんだけど。
それに時代の空気があんまりないのが多い気がするし。たまたま観たのがそういうのばっかりだった可能性は否定できないけど。

その点東宝は時代性命みたいなところがあるでしょ。悪くいえば節操がないだけなんだけど。
それにやっぱり空気が軽い。日活ほどではないけど、それでも軽いですよ。だから観疲れしないんですよね。

昔っからそうですね、アタシの場合。あくまで東宝ありき。昔ってったって中学生の頃なんだけど。
じゃそれよりずっと前、幼少の頃はどうだったかというと。

当時の二大ヒーローといえば『ウルトラマン』と『仮面ライダー』なんだけど、これって東宝と東映の一種の代理戦争ですよね。『仮面ライダー』は企画が毎日放送で原作者が石ノ森章太郎。東映は制作だけ。『ウルトラマン』は円谷プロが制作で東宝はタッチしてないんだけど、円谷プロ自体が東宝から派生したもんだから、画面がもろ東宝のソレなんですよね。

んでアタシがどっちに熱中したかというと、これが意外にも『仮面ライダー』の方なんですよ。もちろんこれは年代のせいというのもあると思います。
アタシが昭和43年生まれ。『仮面ライダー』の放送開始が昭和46年。その頃ウルトラマンは『帰ってきたウルトラマン』の頃ですからね。まぁ云い方はよくないけど盛りを過ぎた頃の作品だから。初代『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』をリアルタイムで観ていれば、また違った結果になったんだろうけど。

『仮面ライダー』って実はかなり東映色強いですよ。戦闘員って出てくるでしょ?『イー!イー!』っていうやつら。ああいうザコがいっぱいでてきて、そのあと怪人と対決するんだけど、あれって時代劇の発想だ、といわれたらなるほどなと思いますもん。

おとなになってから、ビデオで全話観返したことがあるんですよ。そしたらね、マニアから評判のいい、非常に怪奇色の強い<初期ワンクール>より、後期の<ゲルショッカー編>が面白かった。これは自分でも意外でした。

ゲルショッカー編は基本的にダブルライダー(1号・2号)で戦うんだけど、ニセライダーがわんさかでてきたり、変身不能になったり、まぁそのデコレーションぶりは半端じゃないですよ。怪人もなんか色味が強いというかね。派手なんですね。

そしてこれは一番強く感じたことなんだけど、画面に熱気が漲っている。スタッフとキャストがノリノリでつくっているのが画面から伝わってくるんです。だから観ているこっちまで楽しくなってくる。ものづくりをする上で、気持ちのノリってかくも重要なことなのか、ということをイヤというほど実感しました。

新作?観てません。『仮面ライダーBLACK』までは観てたんだけどね。まぁ観てないのにこんなこというのはよくないかもしれませんが、悪くないと思いますよ。それでなかったらあれだけ支持されるわけなと思うし。

でももうそういうおっかけ方は止めようと。まぁ『V3』から『ストロンガー』まではね、自分の中で一定の評価はあるんだけど、それでも初代の『仮面ライダー』と比べるもんじゃないなぁと。それくらい思い入れが強いんですね。


≪泣かせる映画≫ではなく
≪心を揺さぶる映画≫は何か
(2003/12/31)


ここのページはメモワールなんで、年末もクソもないんですけどね。

昨日友人と『一番感動した映画はなにか』という話になったんですけど、やっぱり
生きる』(1952 東宝)
の名前を出してしまうんですね。

『生きる』はもう別格で、実際は泣けるということでいえば案外『七人の侍』の方が泣けるだけどね。

こういう話をしていると、どうしても山田洋次の名前が出てくるんですけど、アタシの中で山田洋次作品で一番好きなのは
『なつかしい風来坊』(1966 松竹)
になるんですよ。

もちろんドライな(山田洋次にしては、だけど)
『喜劇 一発勝負』(1967 松竹)
も悪くないんだけど、やっぱり山田洋次の持ち味はウェットなところでしょ。

そうなると
『吹けば飛ぶよな男だが』(1968 松竹)
とか
ファンタジックな要素の強い
『馬鹿が戦車でやってくる』(1964 松竹)
のラインになってしまうんですよね。

『なつかしい風来坊』がいいのは、
○完全に有島一郎の目線で書かれている
○粗暴な主人公(ハナ肇)とヒロイン(例によって倍賞千恵子)がラストで結ばれる
これって実は、山田作品にしては珍しいですよね。特に主人公とヒロインが結ばれるのは他にないんじゃないでしょうか。(全部観てないのでハッキリしたことはいえんが)

まぁこの映画、とにかく有島一郎がいいんですよ。有島一郎といえば、東宝でも、というか、若大将でのお父さんもそうですし、
『日本一のゴマすり男』(1965 東宝)
とかね。有島個人が面白かったのは
『花のお江戸の無責任』(1964 東宝)
かな。(映画自体は散々な出来だったけど)

話がそれましたが、ラストの有島一郎ね、アタシも登場人物に感情移入することはあんまりないんだけど、これには入り込みましたね。ハナと乳飲み子を抱えた倍賞千恵子と偶然再会して、感極まった表情で『よかった』っていうんですよね。
自分は全然よくない状況なのに、いや、だからこそ人の幸福を祝福できるというね。これはやっぱり有島一郎の演技あってこそだと思いますね。

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